【まとめ】伊坂幸太郎を初めて読む人にオススメ小説10選を紹介するで

ヨスケ

どもども、好きな作家を聞かれたら即答で「伊坂幸太郎さん」と答えます、運営主です。
この記事では、僕が考える伊坂幸太郎氏のオススメ小説を紹介していきます。

ここで紹介するどの小説も伊坂幸太郎氏らしい伏線の美味さが際立っていますよ。

あなたのお目にかかる小説は果たしてこの中にあるでしょうか?伊坂幸太郎を初めて読む人に是非紹介したいラインナップです。

伊坂幸太郎氏の魅力

オススメ小説をまず紹介する前に、僕自身が思う伊坂幸太郎氏の魅力を軽く伝えていきたいと思います。

伊坂幸太郎氏の魅力って、やっぱり「空想のもの」をあたかも不自然なく、現実に溶け込ませる描写力にあると僕は考えます。

例えば、伊坂幸太郎氏の処女作、「オーデューボンの祈り」では「未来予知ができて喋る案山子」が、登場人物たちの生活に違和感なく溶け込んでいますし、「死神の精度」では、人の生死を司る「死神」が当たり前のように出てくる。

普通、物語に「未来予知ができて喋る案山子」や「死神」が出てきたら読んでいる読書に何かしらの違和感を与えると思います。

この「違和感」こそが小説を読む醍醐味とも言えるのですが、伊坂幸太郎氏の小説はその違和感がない。

「違和感」がなくなる理由として、案山子とか死神とか「空想のもの」たちとのどことない人間くささに秘密が隠されていると思うんです。

案山子は未来予知のことを「神様のレシピ」なんて呼んじゃってますし、死神は人の生死を司るくせに、上司のウザさに辟易し、渋滞を嫌い、そして音楽を愛しています。

なんか、空想のもの達のくせに凄い親しみが湧いてきませんか?

現実には存在するはずもない登場人物たちに、読者が親しみを覚えることができる。

この描写力こそが、伊坂幸太郎氏の魅力だと僕は確信しています。

では、僕の好きな伊坂幸太郎氏の魅力を語れたところで、オススメ小説10選を紹介していきます笑

初めての人にオススメ!伊坂幸太郎オススメ10

砂漠

しょっぱなに紹介するのは、僕が一番好きな小説「砂漠」です。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(3.5)
読みやすさ
(4.0)

「砂漠」は、東北の大学生が主人公の小説。ちょっと冷めてる主人公が、仲間たちと青春を突っ走る小説。僕自身が初めてこの小説を読んだ時は高校生だったので、これを読み、まだ見ぬ大学生活に夢を膨らませてた。

伊坂幸太郎氏の長編小説の中でも特に読みやすいです。物語のテンポ良いし。ただおっとりした女の子が超能力を使えたりと、伊坂幸太郎らしさ出してくるけど、全体的に「物足りなさ」はある。伏線あまり使ってこないし。

けど物語の最後の最後に、今までの伏線全部使ってくるあたり「伊坂幸太郎らしさ」を十分感じることができる。残り数ページになった時、あなたは「おお〜〜〜」と声を上げること間違い無し。

総合的に、かなりオススメできるのが「砂漠」だ。僕はこの小説が一番好き。大切なことだから2回言いました。

何事にもさめている僕のその大学生活が、もしかすると彼らによって、劇的なものになるのかもしれない。そんな予感とも期待ともつかない気配をその時僕は感じていた。

なんてことは、まるでない。

死神の精度

一番お手軽に、「伊坂幸太郎らしさ」を味わいたいと言われたら、迷わず僕は「死神の精度」をオススメしたい。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(4.0)
読みやすさ
(4.0)

人間の生死は、死神が司っている。そんなお話です。でもみんなが想像するような「鎌を持った死神」ではなく、上司を鬱陶しく思っているサラリーマンみたいなやつが死神をしている。人の生死は全く興味がなく、調査対象をちょっと観察をして、「死亡」調査結果を淡々と出していく。

渋滞が死ぬほど嫌いで、仕事の合間に聴く音楽をこよなく愛している死神「千葉」と、千葉に調査される人々の物語。

世界観の設定や伏線の使い方は、まさに伊坂幸太郎らしさそのもの。短編形式で読みやすく、伊坂幸太郎らしさを手っ取り早く味わえるのが「死神の精度」だ。

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない──そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。

クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

魔王

魔王はサンデーで漫画化されたりもしていたので、知っている人も多いのでは?主人公が「腹話術」を使って政治家と戦っていく物語。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(5.0)
読みやすさ
(2.5)

なんの特徴もなかった会社員「安藤」が、突如「腹話術」という相手の喋ることを操れるようになり、ヒトラーを匂わせる政治家「犬飼」に立ち向かっていく。そう、どことない厨二感があるのが「魔王」。

これだけ聞くと本当に厨二設定なんだけど、読み進めてくとドンドン引き込まれていきます。世界観に。

「国」「権力者」という大きな波に、「個人」が立ち向かったらどうなるのか。どのような末路なのか。そんなテーマで描かれている作品です。

ちなみに「音楽好きの死神」がチラッと登場します。死神の精度読んでから、魔王読んだ方がより楽しめるのである。

重力ピエロ

「重力ピエロ」は岡田将生を使って映画化してました。人の遺伝子や、親と子の絆をテーマにした小説。僕はこの小説ほど入り方がかっこいい小説を他に知りません。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(3.5)
読みやすさ
(2.0)
「春が二階から落ちてきた。」この一文から始まるのがこの小説。ナニコレカッコイイ。

半分しか血が繋がっていない兄弟がDNAに翻弄されながらも、自分のおい立ちと向き合っていく。物語が進むにつれて増えて行く放火とグラフィックアート。DNAを研究する会社に勤める主人公「泉水」と端正な顔立ちをしつつ性的なものに嫌悪感を表す、「弟の春」。血の繋がっていない二人が紡ぐ物語。

カッコウの親子に愛はあるのか。絆はDNAを超えるのか。

小説の始まり方もさることながら、終わり方が最高にクールなのでぜひ読んでほしい。

ラッシュアワー→重力ピエロ→死神の精度の順番で読むのがオススメ。

春が「性的なるもの」に、怨讐に近い嫌悪を抱いているのには理由がある。分かりやすい理由だ。
春と私とは、半分しか血が繋がっていない。母親は同じだが、父親は異なっている。
私が一歳の頃、夏の前だったと思う、母は、突然部屋に押し入ってきた男に襲われた。

その時に妊娠したのが、春だ。

オー!ファーザー

「いろんなことを教えてくれるお父さんがたくさんいればいいのに」そんなことを考えたことはありませんか?

この本の評価
伊坂幸太郎度
(3.5)
読みやすさ
(3.5)

主人公の「由紀夫」には、四人の父親がいる。知識が豊富な大学教授をしている「悟」、女の子にモテまくるバーテンの「葵」、何の仕事をしているのかわからないギャンブル好きの「鷹」、プロレス好きな中学教師「勲」。

普通の高校生「由紀夫」と個性豊かな父親たちが織り成す、家族愛物語。この家族たちに街での選挙や、プロの殺し屋が交わってきて物語は思わぬ方向へ。

。。。この時点で、世界観が意味わからない人が多いと思う。僕も書いてて笑ってしまった。

父親4人ってなんや!!!!でも、これを綺麗にまとめて、物語を動かしていくのが「伊坂幸太郎」。

世界観の作り方が伊坂幸太郎らしい小説だな、と思う。

それにしてもこの由紀夫、超ハイスペック高校生なんですよ。勲にバスケや喧嘩のテクニックを教えてもらってるし、悟に勉強も教えてもらってるし、鷹から怪しい情報教えてもらっているし、葵から女の子の扱い方まで教わってるからモテる。

俺にも父親4人いれば、こんなハイスペック高校生になれたのかな。。。

父親たちの姿を見ているといくつかの記憶が蘇る。
たとえば、小学校の参観日だ。着飾った母親たちが教室の後ろに並ぶのが通常だったが、ある時、由紀夫の母、知代の予定が合わなかった
ために、父親が代理でやってきたことがあった。
四人のうち誰か一人が来るのだろう、と由紀夫は軽く考えていた。全員でやってきたら目立ってしまうし、そうしないくらい常識的な判断は彼らでもできるだろうな、と高をくくっていたののだ。
けれど、蓋を開けてみれば四人が並んで現れた。同級生たちが、「何だあの四人組は」と訝しむ中、由紀夫は恥ずかしくてずっと下を向いていた。
彼ら四人が、「由紀夫、由紀夫」と呼ぶ声を必死に無視し、耐え、翌日に友人たちから、あれは誰だったのかと訊ねられても、

「何だったんだろうね、あれ。不思議だね。学校の怪談だね」ととぼけた。

フィッシュストーリー

伊坂幸太郎氏の短編集。これも映画化されているけど、僕は小説派。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(2.0)
読みやすさ
(4.0)
「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」で構成される短編小説集。

この中なら「フィッシュストーリー」と「ポテチ」が好き。

「動物のエンジン」「ポテチ」「サクリファイス」はラッシュアワーと繋がっていますよ。

短編集のタイトルにもなっている「フィッシュストーリー」は売れないバンドマンたちの話。

いい曲を作るが、時代がまだついて来ず周りに曲の良さを理解してくれない。いろんな人たちが支えてきてくれたが、解散も目前。解散前に撮る最後の曲は、ある小説の文章から引用した曲だ。

最後に心を込めて歌う曲。これは誰にも届かないのだろうか?俺たちがここまで歌ってきたのは無駄だったのか。

「これ、いい曲なのに、誰にも届かないのかよ、嘘だろ。岡崎さん、誰に届くんだよ。俺たち全部やったよ。やりたいことやって、楽しかったけど、ここまでだった。」
五朗はそう言って、そして清々しい笑い声を上げた。

「頼むから」

売れないバンドマンたちが歌った曲が世界を救う。

自分のやった行動は、巡り巡って、誰かのためになる。そう思える短編小説。

今、自分がやってることは無駄なんじゃないか。そう思っている人に読んでほしい。きっと救われるはず。

ゴールデンスランバー

堺雅人で映画化された「ゴールデンスランバー」。これに関しては、小説を読む前に映画を観てもいいかもしれない。小説を読むとき、すべて堺雅人で再生される。それぐらいぴったりな役だった。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(4.0)
読みやすさ
(3.0)
伊坂幸太郎度 ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆

総理大臣暗殺。その罪を突然被せられてしまった、元引っ越しドライバー「青柳」。

ただ、昔の旧友に会いに行ったはずなのに。それだけのはずなのに。近くで総理が就任パレードをしているだけだった。その総理の車が爆発するまでは。。。

総理の車が爆発してから、突如自分に降りかかる総理大臣暗殺の罪。痴漢の冤罪、消える自分のアリバイ、数々の身の覚えのない証拠。今まで味方だったメディア、警察が自分の敵になっていく。

青柳は、自分の無実を証明することはできるのか?かつて総理大臣暗殺の罪をかぶせられた「オズワルド」の二の舞になるのか?

伊坂孝太郎らしさを詰め込んだ長大作。

「おれは、おまえを誘導するように命令されているんだよ」
森田森吾はだんだん早口になる。
「命令?誰から命令されているんだ?森かよ」青柳雅春は友人の剣幕にただならぬものを感じ、落ち着かなくなる。手持ち無沙汰を感じ、意味もなく、シートベルトを触る。
それを森田森吾が止めた。「ベルトはするな」
「え」

「いいか、よく聞けよ。お前は陥れられている。今も、その最中だ」

ラッシュライフ

リストラされたおっさんと、盗みに美しさを求める泥棒と、不倫するカウンセラーと宗教に助けを求めた絵描きの少年が交わっていく。伊坂幸太郎らしさを詰め込みまくった作品。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(5.0)
読みやすさ
(2.0)

この小説は視点がコロコロ変わっていきます。全然交わらないと思ったストーリーが、物語が進むにつれて交わっていく。この表現法は圧巻の一言。

最後の最後に伊坂幸太郎らしさをかましてくれる。読み終わったあなたは思わず「やられた〜」とつぶやくこと間違い無し。それぐらいストーリーが七転八転する。

この小説の主人公の一人は、伊坂幸太郎ワールドの人気者「泥棒の黒澤」ですよ。

マンションの敷地内に入る。歩幅を小さくする。
自然を装いスムーズに歩く。不安げにきょろきょろするようではいけない。堂々としていれば周囲の人間は怪しまない。手袋をはめてからエレベーターに乗り、五階行きのボタンを押した。
五〇五号室の前でチャイムを押す。「舟木」と表札が見える。ゆっくりと間を置いて、二度押した。
ポケットからフックを取り出す。針金の先が耳かきに似ていた。両手で持ち、鍵穴を何度か引っ掻く。鍵を開く音が、黒澤に充実感を与える。
「まだ生きていても良いです。」と許可をもらった気分だった。宗教は嫌いだったが、泥棒の神様くらいはいてもいいのかもしれない。

ピッキングで開けた他人の家の押し開ける瞬間、黒澤はいつもそんなことを考える。

週末のフール

あと3年で隕石が落ちてきて地球が消滅してしまう。それが決まっている時あなたはどう過ごしますか?人それぞれの終わり方を見つける物語。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(3.0)
読みやすさ
(5.0)
8年前に隕石が落ちると報道され、荒れに荒れまくった世界。その状態から少し落ち着いた5年後の世界。世界に絶望する者、家族を探す者、過去の栄光にすがる者。人それぞれだが、その人間模様を描いていくのがこの小説。

小説はショートストーリーを集めた者なので読みやすい。ショートストーリーも完全に独立するわけでもなく、少しずつ繋がっているので読み進めていく面白さもある。

「八年後に小惑星が落ちてくる、とか。壊滅的な状態になる、とか。」
いい大人の婦人から、「惑星」であるとか「壊滅」であるとか、幼稚とも取れる言葉が出てくるのが可笑しくて、笑いを堪えるのが大変だった。
「悪戯ですかね」僕が言うと、彼女は眉をひそめ、「だと思うのよ」と答えた。上を指差し、「今から、板垣さんのところにその話をしに行くんですけど」と雑談が生き甲斐であるかのような、表情を見せた。

そのニュースは結局のところ、悪戯でもでたらめでもなかった。

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー。別名、伊坂幸太郎作品と濱田岳の相性の良さを噛み締めるための作品。

この本の評価
伊坂幸太郎度
(4.0)
読みやすさ
(3.0)
「一緒に本屋を襲わないか?」そう持ちかけてきたのは、引っ越したアパートの隣人「河崎」。

しかも、盗むのはたった1冊の広辞苑。。。。?

主人公「椎名」は新大学生。これから夢の大学生活が待っているのに、わざわざ本屋を襲うわけがない。。。。そう思っていたのに、決行日に椎名はモデルガンを手に書店の裏口に立ってしまった???

小説ならではのトリックを散りばめた「アヒルと鴨とコインロッカー」。これは映画として実写化もされています。主人公椎名を演じるのは「濱田岳」。こればマジぴったりの役なんですよーーーーー!!!

もう椎名を演じるのは濱田岳以外考えられない。しかも小説ならではのトリックを散りばめているのに、見事この映画は再現している。もう完璧としか言いようがないですよ。

完璧な椎名を演じる濱田岳ですが、アヒルと鴨のコインロッカー以外の伊坂幸太郎映画にも出演しています。「フィッシュストーリー」「ラッシュアワー」「ポテチ」「ゴールデンスランバー」に出演しています。出演したどの役も性格や役柄は違うのですが、濱田岳は見事演じきっている。そこは彼の俳優の厚みを見せることになってるわけですが、どんだけ出演してるんだよ!!っていう。

きっと、伊坂幸太郎映画を手がける人たちの多くは濱田岳のことが好きなんです。

その中でもアヒルと鴨のコインロッカーは濱田学の演技が見事ハマっているので、小説と映画どちらも楽しんでほしい。

「椎名のやることは難しくないんだ」河崎はそう言っていた。
たしかに複雑なことではなかった。どちらかと言えば技術的でもなかったし、誰でもできることだった。
モデルガンを持ったまま、書店の裏口に立っていること。それだけ。ボブ・ディランの「風に吹かれて」を十度歌うこと。それだけだ。
「店を実際に襲うのは、俺だ。椎名は裏口から店員が逃げないようにしてくれ」河崎は言った。

「裏口から悲劇は起きるんだ」

最後に

文中でも触れているが、伊坂幸太郎氏の作品には、度々他の作品に登場する。主人公だけではなくちょっとしか出てない登場人物が、他の作品ではキーパーソンになっていたり。

自分の作ったキャラクターを大切にする伊坂幸太郎氏の姿勢が僕は大好きだ。

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